精神保健福祉士が国家資格の中で一番カウンセラー資格に近いですが、あれはケースワーカーの資格であって、カウンセラーの資格ではありません。
臨床心理士は残念ながら国家資格ではありません。
以前は臨床心理士が国家資格になるのではないかという話もありましたが、その話はとん挫したままです。
これは一つは臨床心理士の管轄の違いが挙げられます。
臨床心理士は病院や医療スタッフとして働く人が多いため、医療関係の資格だと思っている方が多いですが、実は文部科学省の管轄の資格です。というよりも、臨床心理士認定協会自体が文科省とのパイプが深いのです。
これは元高校教師でもあった故河合隼雄先生のご尽力がおおきかったと思います。スクールカウンセラーに臨床心理士が多いのはこうした背景があるからです。
この段階で、臨床心理士は国家資格ではないですが管轄しているところで言うと、文科省、つまり学校教育側の資格であるという認識になります。要するに教師に近いところがあります。
ここで国家資格になる際に、大きな壁になります。
病院を管轄する厚生労働省が「なぜ、医療の資格に文科省の資格が入らないといけないのか」という反発が起こるのです。
余談ですが、医療専門の資格が行うケアや支援は全て医療点数で決定します。文科省の管轄の臨床心理士は国家資格でもないため、医療点数で援助を行うことはできません。これは病院でのカウンセリングが自費であるという理由でもあります。ちなみに精神保健福祉士は厚労省の管轄の資格であるため、面接にしっかりと医療点数が加算できます。
そういった経緯から、医療側の反発があって、臨床心理士が国家資格となれないのです。
小泉内閣の時に何とか臨床心理士を国家資格にしようという動きもありましたが、2005年の郵政解散総選挙に伴い、うやむやにされてしまいました。その後に河合隼雄先生がお亡くなりになり、そのままズルズルと引き伸ばし状態になっています。現在、必死に国家資格にしようという動きもありますが、まあ現状では難しいかなと思います。
今回はちょっと難しい話ですが、臨床心理士がなぜ国家資格でないか、その理由についてお話しました。一番の理由はこのような政治的な背景が非常に大きいことです。
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